食道表在癌の深速度診断を誤った要因 病理の立場からの検討

摘要

探違反が粘膜下層までにとどまる食道表在癌においては,治療前の内視鏡的深遠度診断がEMR適応の有無を決定する重要な因子となるため,肉眼型に応じた探達度診断が報告されている. 1990年代は,症例の蓄積も十分とは言いがたく,現在に比べれば内視鏡の技術·画像が不十分であったために,微小な表面性状の変化をとらえることができずに,内視鏡的深遠度診断は,概して"浅読み"傾向にあった.最近は,症例経験の蓄積と内視鏡技術の進歩により,より細かな食道表在癌の表面性状が読み取れるようになったが,微小な表面性状の変化をもって,深部浸潤と判断してしまう"深読み"の内視鏡的深遠度診断もみられる.