公園に群棲する鳩により発症した慢性鳥飼病の1例

摘要

症例は67歳男性。 鳥飼育歴はない。 羽毛ふとんの使用歴はなく，3年前より約40羽の鳩が群棲する公園での清掃に1日6時間·週6日従事していた。1年前より労作時呼吸困難が，半年前より乾性咳が持続し当科に入院となった。 胸部×線で両中下肺野中心に網状影を，CTでは肺底区を中心に全肺野に蜂巣肺，牽引性気管支拡張，一部にスリガラス陰影を認めた。 胸腔鏡下肺生検組織では蜂巣肺と胞隔炎，正常肺胞領域が混在するUIPパターンを認めたが，線経化は胸膜下のみでなく一部小葉中心性の分布を示した。 鳩糞抽出物（PDE）に対する特異抗体は陰性だが，鳩血清添加末梢血リンパ球増殖試験とPDEによる吸入誘発試験が陽性であり，慢性鳥飼病と診断した。 ステロイドが投与されたが効果は不十分で徐々に進行し，診断9カ用後急性増悪により死亡した。