ステロイド長期投与が成因となった腸管囊胞状気腫症の1例-本邦報告32例の検討

摘要

腸管囊胞状気腫症(pneumatosis cystoides intestinalis ： PCI)は，多種の原因により腸管壁 の粘膜下または漿膜下に囊胞状気腫が形成される 比較的まれな疾患である.気腹症を呈していた場 合には，消化管穿孔との鑑別が問題となる.今回 われわれは.ステロイド長期投与が成因と思われ るPCIの1例を経験したので，本例を報告すると ともにステロイド投与中に発生したPCIの本邦 報告例32例について検討した.症例症例93歲，男性主訴：下痢，下腹部皮下気腫既往歴：60歳時に前立腺肥大症手術.89歳時 に脳梗塞を発症し，以後左片麻痺.92歳時より 水疱性類天疱瘡に対し，prednisolone 10mgを連 日内服中であった.