細胞接着および骨格と腎疾患 低分子量GTP結合蛋白質Rhoによる細胞骨格と接着の制御機構を中心に

摘要

低分子量GTP結合蛋白質(低分子量G蛋白質)のRhoは,種々の細胞外情報に応答して細胞骨格や細胞接着を機能的に変化させる.Rhoの標的蛋白質としてprotein kinase N (PKN),Rho-キナーゼ,およびミオシンフォスファターゼのmyosin-binding subunit(MBS)が同定されており,Rhoの作用機序が明らかにされつつある.Rho-キナーゼとMBSは,協調してミオシンのリン酸化レベルを制御し,ストレスファイバーや平滑筋収縮を惹起すると考えられている.さらに,Rhoは,細胞接着の構成蛋白質の構築を制御し,細胞相互間の接着および細胞と細胞間基質間の接着に関与している.このような低分子量G蛋白質Rhoを中心としたシステムが細胞骨格や接着を調節しており,Rhoは腎疾患の発症·進展を解明する有力な手掛かりになることが期待される.