急性期脳血管障害の治療戦略Brain Attack時代のプロローグEBMに基づいた急性期脳梗塞の治療の現状と評価

摘要

我が国の脳卒中は，過去30年間に死亡率は減少したものの患者数の減少はみられず，生活習慣の変化や人口の高齢化に伴い脳卒中の病型の変化が指摘され，後遺症に悩む人や介護を要する人の割合は増加しつつある．急性期の治療法に関しては，抗脳浮腫療法，抗凝固療法，抗血小板療法などが選択されるが，脳保護薬の登場によって治療効果の改善が期待されている．近々組織プラスミノーゲンアクチベータによる血栓溶解療法が新たな治療戦略となる可能性が高く，また本邦における脳卒中ガイドラインも提示され，脳卒中治療は新たな時代を迎えつつある．今回，急性期脳梗塞の治療に関して，本邦における保険適応治療の実態を把握するためにJapanese Standard Stroke Registry Study（以下JSSRS）の脳卒中データバンク（日本脳卒中協会データバンク部門：小林祥泰）を用いて最近5年間の全国の脳卒中治療基幹病院における症例を対象にretrospectiveな解析を行った．