高血圧症を合併する糖尿病性腎症の評価における尿中Ⅳ型コラーゲン測定の意義

摘要

最近，糖尿病性腎症の診断と治療に役立つ新しい指標として，尿中Ⅳ型コラーゲン（uⅣ·C）検査が保険収載され，その有用性に期待が集まっている.糖尿病性腎症においては，糸球体基底膜肥厚，メサンギウム領域拡大，尿細管問質肥厚という特徴のある病理学的病変が認められる。 これらの病変全てに糸球体基底膜，尿細管問質の構成成分であるⅣ型コラーゲン（Ⅳ·C）の産生増加が関わっていること，uⅣ·C排泄量が糸球体障害度および尿細管問質障害度といった腎細織病変と相関することから，uⅣ·C排泄量は腎ネフロン全体の雑織変化を反映するものと推定されている。