スルホニルゥレア薬使用中の2型糖尿病患者への シ夕グリプチンの追加投与による有効性と安全性スルホニルゥレア薬用量維持群と減量群の比較検討

摘要

中用量から高用量のスルホニルゥレア薬(SU薬）にて治療中の2型糖尿病患者に対し て，DPP-4阻害薬シタグリブチンを追加投与した際に，「インクレチンとSU薬の適正使用 に関するRecommendationJにしたがつてSU薬を減量した場合とSU薬を減量せずに維持し た場合とで，血糖コントロールおよび低血糖の発現に対する影響を後ろ向きに検討した。 検討対象は全体で87例（男/女：50/37例），SU薬用量維持群はA群(SU薬中用量?維持） 25例，B群(SU薬高用量·維持）20例，SU薬減量群はC群(SU薬中用量?減量）16例，D 群(SU薬高用量.減量）26例であった。低血糖の発現はA群，B群ともにそれぞれ3例で あり，C群，D群については両群合わせて1例のみであった。血糖コントロールへの影響に ついては，A群で最もHbAlcの変化量が大きかったが，すべての群でシタグリブチンの投 与直前と比べ有意な低下を認めた。これらのことから，SU薬を中用量以上で使用されてい ても血糖コントロールが不良な患者では，低血糖について患者に十分指導した上であれば， SU薬を推奨用量まで減量しなくてもよい症例が存在するが，低血糖の発現リスクをより少 なくするにはSU薬の減量が有用であり，また，SU薬の減量を行っても血糖コントロールを 悪化させる可能性は少ないことが示された。