高齢者のうつ病性亜昏迷にmirtazapine (NaSSA)とduloxetine (SNRI)の増強療法が奏効した1例

摘要

作用機序の異なるmirtazapine [MIR (NaSSA)〕とduloxetine 〔DLX (SNRI)]の増強 療法は，ノルアドレナリン（NA)およびセロトニン（5-HT)神経の作動作用と再取り込 み阻害作用の相乗効果により強力な抗うつ作用を発揮することから，難治性（治療抵抗性） うつ病における治療戦略の第一選択肢の1つと考えられており，著効症例の報告も散見される。今回，高齢者のうつ病性亜昏迷にMIRとDLXの増強療法が奏効した症例を経験した。 MIRとDLXの増強療法は，自殺企図を繰り返したり，昏迷や亜昏迷を呈するような重症のうつ状態に対しても有効性が高く，治療初期より念頭に入れおくべき治療戦略，薬剤選択になることが示唆された。