アルッハイマ一型認知症治療におけるリバスチグミンの介護者からみた有用性の検討 鹿児島認知症サポー卜(KNS) study

摘要

アルツハイマー型認知症（AD)治療薬のうち'リバスチグミンはアセチルコリンエステ ラ一ゼ（AChE)だけでなく，プチリルコリンエステラーゼ（BuChE)をも阻害すること により脳内のアセチルコリン（ACh)を効率的に増加させる貼付剤である。今回，リバス チグミンの有用性について，鹿児島県の認知症疾患医療センターを中心とした多施設で検 討した。対象は50歳以上の軽度および中等度AD患者で，リバスチグミンを投与した。24週間投与 継続可能であった症例は29例であった。Mini-Mental State Examination (MMSE)または 改訂長谷川式簡易知能評価スケール（HDS-R)からみた認知機能は投与後24週時まで低下 せず維持していた。また，改訂クリクトン尺度からみた介護者による患者の印象は投与後 12週時で投与開始時に比べて有意な改善が認められており，.特にBPSDの1症状と考えられ る「落ち着きのなさ」やADLの1項目と考えられる「余暇の活動」で早期から改善傾向が 認められた。さらに，Zarit介護負担尺度日本語版の短縮版（Zarit短縮版）からみた介護者 の負担度は投与後4週時以降，有意な軽減が認められた。以上のようにリバスチグミンをAD患者に24週間投与した結果，認知機能は低下せず維持 しており，「落ち着き（BPSD)」がみられ「余暇の活動（ADL)」を楽しむようになり，介 護者の介護負担は軽減したと考えられる。また，剤形面でも介護者4人のうち3人は経口 薬よりも貼付剤のほう力5使いやすいと回答した。リバスチグミンはAD患者の介護者にとって有用な薬剤であると考えられる。