パロキセチン（パキシル~R）とクァゼパム（ドラ一ル~R）の併用が奏効したうつ病の1症例-認知機能（ワ一キングメモリ）の観点から-

摘要

日中不安，不眠を伴ううつ病に対し，パロキセチン（パキシル~R）とクァゼパム（ドラ一ル~R）の併用が奏効した症例を経験したので報告した。症例は29歳，男性会社員で，大うつ病性障害（DSM-IV分類）の外来患者であった。うつ病に対してパロキセチン10mg/日，また，日中不安および不眠に対してクァゼバム15mg/日で治療を開始した。治療開始後1週間目には，抑うつ症状は改善し，治療開始後2週間目には，すでに寛解状態にあった。中途覚醒に対しクァゼバムを20mg/日に増量した。治療開始後3週間目，抑うつ状態の悪化でパロキセチンを20mg/日に増量した。治療開始後9週間目には，中途覚醒に対しクァゼパムを30mg/日に増量，以降パ口キセチン20mg/日およびクァゼバム30mg/日で安定していた。治療開始後64週間目にはパロキセチンを10mg/日に減量，クァゼバムは漸減中止。治療開始後67週間目にはパロキセチンを5 mg/日に減量し，治療開始後72週間目にはパロキセチンを中止した。なお，本症例においては，治療前後において休職することはなかつた。また，認知機能（ワ一キングメモリ）は，治療前で軽度障害，治療開始後24週間目で正常範囲内にあった。