リバスチグミンパッチの長期投与での有用性

摘要

リバスチグミンパッチは2011年に上市され，アルツハイマー型認知症（AD)治療薬とし て広く使用されている。しかし，本邦での長期投与による有用性については報告が少なレゝ。 そこで，1年以上にわたってリバスチグミンパッチを使用した軽度?中等度AD患者におい て，症状や改訂長谷川式簡易知能評価スケール（HDS-R)の変化，局所脳血流について検 討した。解析対象は，新規にリバスチグミンパッチを投与した症例（新規症例）および他のコリ ンエステラーゼ阻害剤が無効あるいは副作用の発現によりリバスチグミンパッチに切り替えた症例（切り替え症例）で1年以上にわたって使用し，投与時と投与後で自?他覚症状 を評価できた77例（男性30例，女性47例）とした。新規症例38例においては，投与時と比 較した投与1年後の自覚症状改善率は71.1%であり，他覚症状改善率は63.2%であった。 HDS-Rは投与時17.9±4.8点（n = 38)に対し，投与6カ月後19.7+-4.9点(n= 30),1年後 19.6±4.9点(n = 35)と認知機能は改善?維持されていた。切り替え症例39例（ドネぺジル 7例，ガランタミン32例）においては，投与時と比較した投与1年後の自覚症状改善率は 59.0%であり，他覚症状改善率は56.4%であった。他剤の効果不十分を理由に切り替えた症 例のHDS-Rは，投与時13.2+-3.8点(n=12)に対し，投与6カ月後は14.2±5.6点（n= 10)，1 年後は15.3+-5.2点(n= 8)であり，副作用による切り替え症例においては，投与時15.6土 4.5点(n = 27)に対し，投与6カ月後は17%+-5.6点（n = 23)，1年後は15.9±5.5点(n = 24) と切り替え理由にかかわらず認知機能は維持されていた。