ナルコレプシ一は自己免疫疾患か

摘要

ナルコレプシ一の病態基盤に才レキシン産生細胞の消失があるが，その原因は不明である.ナルコレブシ一とHLA-DQB1* 06 ： 02との関連に基づいて，ナルコレプシ一の自己免疫仮説（才 レキシン産生細胞が自己免疫機序により傷害される）が信じられている.遺伝子関連解析から，HLA以外にも様々な免疫関連のナルコレプシ一関連遺伝子が見出され， また溶連菌感染やインフルエンザワクチン接種がナルコレプシ一発症契機となる疫学的知見 も得られ，自己免疫仮説の傍証となっている.液性免疫や脳組織検討では否定的報告が多く，発症にかかわる自己抗原は未同定である.ナル コレプシ一発症期には免疫抑制療法の有効例が存在することから，病態に免疫機序の関与はあ るが，自己免疫機序の有無は今後の検討を要する.