糖尿病と認知症一血管性認知症

摘要

糖尿病は脳卒中および血管性認知症（VaD)の危険因子である.糖尿病に認知症が合併するとその管理は極めて困難となる.認知症を早期に診断し治療を行うことが重要である.糖尿病の脳血管障害は，大血管症としてのcerebral large vessel diseaseと，皮質下病変をきたすsmall vessel disease (SVD)に分けられる.高齢者では純粋な血管性認知症やAlzheimer型認知症（AD)は少数で，実際には両病変が様々な割合で混在する例が多い.糖尿病における脳梗塞の発症予防には，糖尿病を含む危険因子（高血圧，脂質異常症，肥満，喫煙）を包括的にコン卜ロールすることが重要であるが，チアゾリジン·抗血小板薬に新たなェビデンスが集積されている.