認知症を伴うパーキンソニズムを呈し，嗜銀顆粒性認知症と脳血管性パーキンソン症候群の合併と考えられた1剖検例

摘要

嗜銀顆粒性認知症（argyrophilic grain dementia)は Braakらにより記載された老年期の認知症性疾患で ある。神経変性症性認知症疾患の中ではアルツハイマー 型認知症に次ぐ頻度であるが，診断には病理学的検 索が必須であるため臨床所見や経過を詳細に検討できる 症例は少ない。ほとんどの症例は臨床的にアルッハ ィマー型認知症や前頭側頭型認知症，脳血管性認知症と 誤診断されている。また，認知症を呈する種々の神 経変性疾患において嗜銀顆粒をしばしば認めるため，嗜 銀顆粒の存在と臨床症候との関連性の評価が困難な症例 も多い。