悪性腫瘍に対する分子標的治療

摘要

がんのバイオサイエンスの進展によって，がんの分子メカニズムが解明され，遺伝子や蛋白質を標的として新しい治療法を考えることができるようになった。 多剤耐性に関しては耐性遺伝子MDRがクローニングされ，それがコードするP－糖蛋白質を分子標的としたMS－209を始めとする薬剤が臨床研究されている。 MS－209は白血病，リンパ腫，乳癌に対し，治験が進んでいるが，例えば乳癌において，CAF療法が無効となった症例においてMS－209併用で奏効症例が認められており，興味ある薬剤である。