トリソミー8を含む複雑な染色体異常を有した慢性好酸球性白血病

摘要

好酸球増多症候群hypereosinophilic syndrome (HES)は,慢性骨髄増殖性疾患の一つであり,骨髄での好酸球の増殖に伴う持続的な好酸球増多と臓器障害を特徴とする疾患である。さらに,骨髄芽球の増加を伴う場合やクローン性の染色体異常を有する場合には,慢性好酸球性白血病chronic eosinophilic leukemia (CEL)として分類される.CELについては, FIP1L1-PDGFRA融合遺伝子の形成が近年報告され,imatinibが有効な疾患として注目されている.今回われわれは,トリソミー8を含む複雑な染色体異常を有し, FIP1L1-PDGFRA融合遺伝子陰性のCELの一例を経験した。 肺や皮膚に腫瘤を形成して急速に進行した臨床経過であり,文献的考察を加えて報告す.