糖尿病性神経障害の診断と治療の進歩

摘要

糖尿病性神経障害の国際的な診断基準はいまだ確立されていないが,わが国では"糖尿病性多発神経障害(distal symmetric polyneuropathy)の簡易診断基準"が作成されている.これは一般医家にも広く用いることができるように簡便に作成されていることが特徴であるが,神経障害の自覚症状,アキレス艇反射の滅弱·消失,振動覚の低下を確認し,神経伝導検査などの神経機能検査異常あるいは自律神経障害の存在を考慮に入れ,総合的に判断することによる診断基準である,糖尿病性神経障害の発症·進展を阻止するためには血糖コントロールを厳格に行うとともに,発症機序に則った治療薬を併用することが重要である.また,病状が進行した場合は対症療法薬を用いる,神経障害に対する各種の新しい薬剤が現在開発中であり,これらの有効性の確立を期待したい.