孤立性腫瘤陰影を呈した悪性胸膜中皮腫の1例

摘要

背景.孤立性腫瘤陰影を呈した悪性胸膜中皮膜の症例は稀である.症例. 73歳,男性.咳嗽,労作時呼吸困難を呈し,画像所見で右胸水貯留,右横隔膜上に腫瘤をみとめた.確定診断のため胸腔鏡検査を施行した.検査所見では横隔膜上に腫瘤をみとめ,壁側胸膜に白色の小結節が散在していた.生検により二相性悪性中皮膜( pT2N0M0,Stage IIと診断された. CDDP, Pemetrexedによる化学療法を5コース施行し, PRとなった.胸水コントロールが不良であり,胸腔鏡下腫瘤横隔膜合併切除術,ピシバニール~Rの胸腔内投与による胸膜癒着術を施行した.その後胸水の増加はなく8ヶ月無症状で経過しているが,播種病変が増大したため, Gemcitabineによる化学療法を追加した.小結節病変に比べ,孤立性腫瘤のより強い増殖能がCD34抗体, D2-40抗体, Ki-67抗体による免疫染色により示された.結請.免疫染色の結果,小結節病変と比較して,孤立性腫瘤は血管新生が強く,増殖能が亢進していることが証明された.腺病は増殖した肉腫成分により形成されていた.