悪性胸膜中皮腫治療のためのペメトレキセド修飾 ヒアルロン酸の開発

摘要

悪性胸膜中皮腫はアスベスト起因の疾患である。5 年生存率は10 %にも満たず、極めて難治性なため、効 果的な治療法の確立が課題となっている。ペメトレキ セド(PMX)は葉酸代謝拮抗薬の一種であり、悪性胸膜 中皮腫の標準治療薬の一種である。葉酸の取り込み経 路を利用して細胞内に取り込まれ、葉酸の代謝に関わ る酵素を阻害することで、がh細胞の増殖を抑制する。 一方で PMX は低分子量の薬剤であるためクリアラン スが速く、難溶性であり、副作用が強いといった課題 を有する。そこで我々は、がh細胞への標的能を有す るポリマーを用いた PMX の送達により、抗腫瘍効果 の亢進を期待した。悪性胸膜中皮腫では、中皮腫細胞 によるヒアルロン酸(HA)の産生が活発に行われ、受容 体の発現量も多い。本研究では、この HA の活発な代 謝を利用し、HA に PMX を担持したポリマーを新規 に合成し、抗腫瘍効果の評価を行うことを目的とした。