AhRとArntの分子生理学

摘要

AhR(Arylhydrocarbon receptor)はその名の示すとおり,おもに芳香族炭化水素化合物をリガンドとする受容体型転写因子である.AhRはダイオキシン類もリガンドとし,ダイオキシン類の生体毒性を仲介する因子であることから,最近,とくに注目されている,AhRは通常は細胞質中に存在しているが,リガンドの結合により活性化されて核内へ移行する.校内においてAhRはArnt(AhR nuclear translocator)とよばれるパートナー分子とヘテロニ量体を形成し.標的遺伝子の転写調節領域に存在する誘導的エンハンサー配列(Xenobiotic responsive element:XRE)に結合して転写を活性化する.著者らはこのようなAhRによる転写活性を抑制する因子として,AhRR(AhR repressor)という因子をあらたに見出した.最近ではAhRR以外にもたくさんの因子がAhRシグナル伝達系にかかわることが見出されてきている.