濾胞性リンパ腫：合理的な治療選択と最近の研究動向

摘要

濾胞性リンパ腫(follicular lymphoma, FL)は，代表的な緩徐進行型（indolent) B細胞リンパ腫である。診断時に全身の複数箇所にリンパ節腫大がみられることが多いが，進行期であっても無症状で，数年以上にわたつて治療を必要としないことがしばしばある。治療としては化学療法，放射線療法，抗CD20抗体療法が有効で， 多くの患者でrituximab併用化学療法による初回治療が奏効する。しかし進行期の緩徐進行型リンパ腫の臨床経過の特徴として，長期的にはほとんどの患者が再燃を来して再治療が必要となる。FLに対しては新規治療薬を含めてさまざまな治療選択肢がある反面，初回治療時および再発時の治療方針が画一的に定まっていない（図1)。このため，リンパ腫の状態や患者背景を踏まえて治療方針を考えていく必要がある。