Gemtuzumab ozogamicinにより分子生物学的寛解を維持している高齢者再々発急性前骨髄球性白血病

摘要

患者は79歳女性。2005年6月初診。急性前骨髄球性白血病と診断され，all-trans retinoic acid (ATRA), idarubicin併用にて完全寛解を得た後，地固め化学療法に続いてATRA維持療法を行っていたが，2006年10 月再発し，arsenictrioxide投与にて再寬解を得た。2007年12月再々発し，arsenic trioxide再投与および化学療法を施行したが無効であった。Tamibaroteneは一時的に有効であつたが効果は持続しなかったため，gemtuzumab ozogamicin を2コース投与した。血球減少以外の有害事象認めず寛解導入され，その後1年以上分子生物学的寛解を維持している。高齢者においては造血幹細胞移植は適応にならないが，arsenic trioxide無効となった急性前骨髄球性白血病の複数回再発例に対して，gemtuzumab ozogamicinが奏功したことは今後治療戦略を立てる上で参考となる症例と考えられた。