Gas biologyと生体制御 ガス分子による生体制御機構

摘要

従来の生化学では,糖質,脂貭,アミノ酸,核酸,金属イオンといったカテゴリーが教義的に存在し,ガス状分子は代謝経路の末席を汚す有毒な排泄物としてしか取り扱われず,その生理的作用については酸素や一酸化窒素を除き,ほとんど未知のままであった.しかし,NOのみならずCOやH_2Sのような内因性ガス物質が生体恒常性維持に不可欠であることが解明されたのを契機として.生体内で生成され,微量ではあるが強力な生物活性をもつ可能性のある種々のガス分子の相互作用の病態生理学的意義に注目が集まりつつある.