食習慣と炎症性腸疾患

摘要

炎症性腸疾患は欧米に比べてわが国では頻度の少ない疾患であるが,潰瘍性大腸炎(uc), crohn病(CD)ともに増加傾向にあると推測されている.炎症性腸疾患の発症要因としての食物?栄養要因に関する疫学的知見は症例対照研究によるものがほとんどである.野菜·果物がUCおよびCDに予防的であることが一致して観察されている.食物繊維はCDに予防的であるが. UCとの関連はみられていない.脂肪については4つの症例対照研究のうち1つでUCリスクの高まりが観察されている.砂糖の過剰摂取がCDリスクの高まりと関連していることがほとんど例外なく観察されている. UCに関しては砂糖との関連性を示す研究は少ない.食物·栄養要因に関する研究は少なく.遺伝的感受性を考慮した研究が必要である.