脳波'α波'からみた脳のカオス地図－周波数ゆらぎのカオス的解析

摘要

健常人（n＝11）とdiffuseαパターン（ll型）を示した被検者（n＝9）の頭皮上の13カ所から閉瞼安静覚醒状態で記録した脳波のα波について．周波数ゆらぎの状態を立方体box－COunting次元解析法と六次元Lyapunov spectrum解析法で解析した．推定した値を用いて二次元トボブラフイとして表示し，空間的分布の特徴を調べた．健常人群ではフラクタル性やカオス性が頭部前方領域で高く，後頭部で低かった．これは大脳局所の統括的な神経の活動性が反映されたものであり，みかけ上安静状態であっても内実は精神活動が営まれており，その度合いが部位間で異なるものと推定した．diffuse aパターン群は頭部前方領域でフラクタル性が低くカオス性を示さず，後方領域で低カオスであった．以上の成績から，脳は健栄な状態では精神活動の度合いが大きいはどカオス性が高く，病的に機能の活動性が低下するとカオス性がなくなるものと考えられた．