アンジオテンシンⅡによる炎症と内皮機能障害

摘要

心血管病の基礎となる動脈硬化形成過程は，各種の因子による血管傷害と血管壁を場とした慢性炎症を主体として説明されてきた.この過程においてレニンーアンジオテンシン系の活性化による血管壁の炎症と酸化ストレス，内皮機能障害は病態の進展にきわめて重要な要素を占める．血管内皮細胞は1層の血管内膜を形成して全身の血管を被覆し，生理的に神経·体液性因子および機械的刺激に応じてさまざまな生理活性物質を発現·遊離する一方，血管内腔を被覆するがゆえに，高血糖，高コレステロール血症，過酸化物質などに直接曝露され，動脈硬化進展過程における炎症の場となる．