カンナビノイドによる鎮痛の機序と治療への応用

摘要

マリファナは古代より，鎮痛，幻覚や多幸感を生じる物質として用いられてきた．医学文献上はナポレオン軍がエジプトから持ち帰った大麻の麻酔作用や耽溺性について1810年に記載されたのが最初で，1848年にはマリファナの鎮痛と抗痙攣作用が詳細に報告された．しかし，マリファナの主成分の同定までには長い時間を要し，ようやく1964年になり，GaoniとMechoulamによりマリファナの活性成分である△－9－テトラヒドロカンナピノール（△－9－THC）が同定された（図1）．その後，CBlとCB2の2種類のカンナビノイドレセプターや内因性リガンドも同定された．最近，内因性カンナビノイド系がさまざまな生体機能の基本的な調節に関与していることが知られるようになり，カンナビノイドを改良したあらたな鎮痛法·薬の開発が期待されている．