大学病院におけるセカンドオピニオンの問題点

摘要

ひとつの大学病院におけるセカンドオピニオンの現況を述べ，そのなかから出てきた，提供する施設の立場からみたセカンドオピニオンの問題点を考察した．大学病院へのセカンドオピニオン相談は多岐にわたり，その質を高く維持するためには人的にも時間的にもかな刃大きな負担がある．セカンドオピニオンが患者を介した医師間の相互評価という性格からすると,その結果としての転院もやむをえないと思われるが，その背景には真の意味でのセカンドオピニオンのシステムが社会的にも医療関係者にもまだ十分に理解されていない可能性をうかがわせる．大学病院の役割として，セカンドオピニオンに関する正しい知識の国民や医療従事者に向けた啓発活動のみならず，卒前医学教育や研修医を含む多くの医師に対する教育も重要な責務である.