摂食·嚥下障害の評価

摘要

摂食·嚥下障害を評価する目的は嚥下障害の有無を確定することではなく,どのように対処すれば摂食可能となりうるかという代償的治療法の選択を見出すことにある.病歴聴取と理学的所見によるスクリーニング評価の後,必要ならば嚥下造影(VF)や嚥下内視鏡検査(FEES)を行う.摂食·嚥下機能特有のスクリーニング評価には反複唾液飲みテスト(RSST)を加えた改訂水飲みテスト(MWST)や,段階的フードテスト(FT)などがある.VFやFEESでは種々の形態の食品(液体,半固形,固形など)を嚥下させながら検査する.さらに,体幹や頸部の角度を変化させたり,頸部の回旋を行わせて円滑な嚥下が得られる方法を探索する.一般に,液体よりも粘性のある半固形物のほうが誤嚥は少ない.体幹は後傾したほうが誤嚥は減少し.頸部は前屈したほうが嚥下反射の誘発が容易となる.頸部の回旋は患側へと行うことで,食塊は健側の梨状陥凹へと進みやすくなる.