パーキソソン病薬物療法のメリットデメリット

摘要

脳内黒質のドパミンニューロンの変性脱落がパーキンソン病（PD）の本態であるので，不足するドパミン（その前駆物質のL－DOm）を補うというのはきわめて理にかなっており，もっとも生理的ともいえる．L－DOPAはきわめて効果が高く，投与開始時の量設定が容易であること，他の薬剤との相互作用もほとんどないなど，きわめて優れた薬剤といえる．．しかし，L－DOfAやドパミンが神経毒性をもち疾患の進行を加速させるかもしれないという考えと，L－DOfA単独で治療するとweadng－off現象（W－O）や不随意運動が出現しやすい事実から，年齢が70歳未満，認知症のないPD患者では，初期治療としてドパミンアゴニスト（以下アゴニストと略す）を選ぶことが2002年の日本神経学会ガイドラインで推奨されている．その後，この数年間にもさまざまなエビデンスが蓄積され，L－DOmとアゴニストのメリット，デメリットの評価はすこしずつ変化してきている．