betaシヌクレインとParkinson病

摘要

シヌクレイン（syn）ファミリー蛋白は神経組織に豊富に発現し，神経細胞の前シナプスに局在するリン酸化蛋白である．synには，alpha，beta，gammaの3種が存在し，ヒトではそれぞれ，140アミノ酸，134アミノ酸，127アミノ酸からなり，相互に高い相同性を有している．synの生理機能の詳細は不明であるが，近年，alphasynの変異が家族性Parkinson病（PD）の原因のひとつであることや，PDやLewy小体型痴呆（DLB）に特徴的な病理構造物であるLewy小体がalphasynに強陽性を示すことが見出され，alphasynの凝集がPDやDLBの病態に促進的に．働いていることが明らかとなった．alphasynとは対照的に，betasynは最近の検討から神経保護的に働くことが示唆されており，betasynがalphasynの神経変性促進作用に対する負の調節因子として重要な役割を担っている可能性が考えられる．