BNPガイドの治療戦略

摘要

脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)が心臟ホルモン"として認知されるようになって久しい."心不全"評価は自覚症状や身体所見,胸部X線など半定性的かつ経験を必要とする指標に頼らざるをえない状況が続いていたが,BMPの登場は心不全診療体系の再構築をもたらす可能性すらもちえている.これまでの臨床指標にない簡便性,反復性·普遍性を有しているからである.著者らはこれまでBNP測定の意義を心不全管理の観点から検討してきた.すなわち,血漿BNP濃度200pg/m/以下の管理目標基準を設けたBNPガイド下治療を展開することにより,入院管理および外来管理のいずれも有意な心事故イベント率の減少が得られることを見出した.このようなBNPガイド管理はおもに心収縮能障害による慢性心不全例に適用できるが,一方では収縮性心膜炎,肥大型心筋症など基礎心疾患によりその活用には留意が必要であることも認識すべきである.