薬物による腎障害のメカニズム

摘要

薬物性腎障害は日常診療上で避けて通れない，臨床家にとって宿命的ともいえる重要な問題である．その発症頻度は，正確には把握ができないこと，さらに軽症例での見逃し，そして特異的な診断法をもたない現在では未知数といわざるをえない．一般に発症早期の確定診断は適切な治療法の開発につながるが，薬物性腎障害にも当てはまる．事物性腎障害では薬物の使用量増加·使用期間延長につれて発症する用量依存性腎障害と，数日から数週間の経過中にアレルギー機序が関与して発症する過敏型に大別されるが，問題はこれらの発症機序を特異的に特定する方法が存在していないことにある．しかし，これら異なる発症機序では治療法がかならずしも同様でないことから，今後はより特異的な診断法の開発が望まれる．