閉経後中高年女性における骨密度/骨代謝と動脈硬化指標(baPWV)との関連

摘要

健常な閉経後女性における骨粗鬆症I骨代謝と動脈硬化の関連について検討した。方法：対象はM市の健康な閉経後の中高年女性で検診に参加し，研究協力を承諾した48名 (平均年齢62.5 +- 6.5歳）。骨密度（BMD)はDXA装置(Hologic社製：QDR-4500)で測定し た。骨代謝関連マーカーはDPD， NTX, BAPを測定した。動脈硬化の判定には日本コーリン(株) 製血圧脈波検査装置（form PWV/ABI)で脈波伝搬速度（PWV)を測定し，baPWV値と各評価 指標因子との相関関係を検討した。また，baPWV値1400以上群（高値群）と1400未満群（低 値群）の2群にわけて骨?動脈硬化関連因子との関係を検討した。結果：腰椎?大腿骨頸部YAM%では約半数の対象者が骨量減少?骨粗鬆症と診断された。ま た，腰椎骨密度はBMIと閉経後経過年数で有意な関連がみられた。baPWVの検討では，33%の 者が動脈硬化と評価された。baPWVの高値群は年齢，閉経後経過年数，腹囲，BMI,体脂肪率， TGが高く ， HDL-Cは低かつた。DPDも有意に高値であつた。結論：BMD減少は加齢のみでなく閉経後経過年数と関連があった。また，動脈硬化と骨代謝 に関連がみられ，閉経による突然の女性ホルモンの変化がこれらの臨床症状の病態に関与してい ることが推測された。