糖尿病患者における頸動脈エコーの意義－頸動脈エコーによる血管合併症の評価

摘要

糖尿病患者では細小血管合併症ばかりでなく血管内皮～中膜に生じるアテローム性動脈硬化症に起因する大血管合併症が高率に生しる糖尿病患者におけるアテローム性動脈硬化症は非糖尿病者と比較してより広範に，びまん性に発症してその進行が速いことを特徴とし，冠状動脈や脳動脈における病変が本疾患の主要な死因となるゆ真に糖尿病診療においては動脈硬化性病変の早期発見とその進展予防が重要なポイントとなるが，従来その診断はMRIや血管造影，運動負荷などの方法に頼っており，これらの方法は検査の容易性や軽度な病変に対する感度の面でかならずしも満足のいくものではなかった近年行われるようになってきたエコーによる頸部頸動脈の動脈硬化性変化の評価はたんなる頚動脈病変の検索のみならず，全身性動脈硬化症のスクリーニング的な臨床的意義をも有すると考えられているさらに，頸動脈エコーはその無位襲性，感度，容易性において従来の方法とは明らかに一線を画しており，今後の幅広い普及が望まれる本稿では頸動脈エコーによる動脈硬化症の評価に関してその方法，臨床的な意義，および評価結果より導きだされる検査·治療方針について概説した