天然由来のバイオプローブを用いたケミカルジェネティクスとケミカルゲノミクス

摘要

遺伝学における遺伝子変異の代わりに,低分子化合物を用いて蛋白質の機能を解明するケミカルジェネティクスにおいて,天然由来の低分子有機化合物(バイオプローブ)は強力なツールである.構造多様性指向型の有機合成が発展した現在においても,天然有機化合物のもつ構造と生物活性の多様性は魅力的である.本稿では,放線菌より単離された抗生物質ホスラクトマイシンの標的分子およびその阻害機構の解析と,今後,ライブラリーとしての天然有機化合物群の特性を最大限に生かすための基盤技術開発を紹介する.