グリコシグナルドメインによる情報伝達と細胞機能発現LacCerを介した好中球の活性酸素産生機構

摘要

細胞膜表面に発現しているスフィンゴ糖脂質は,細胞の種類や分化段階によって質的にも量的にも異なっている.この分子は細菌列毒素の受容体や接着分子として機能すると考えられているが,その詳細についてはいまだに不明な点が多い.スフィンゴ糖脂質はスフィンゴミエリンやコレステロールとともに,マイクロドメインあるいはラフトとよばれるクラスターを細胞膜上で形成している.最近,マイクロドメイン中のスフィンゴ糖脂質が情報伝達分子と会合し,細胞外の分子と糖鎖-糖鎖相互作用を介して結合することで,情報を細胞内へと伝えることが分子レベルで示唆された.このような情報伝達ユニットはグリコシグナルドメインとよばれるようになった.