頭頸部癌放射線治療後の口腔乾燥に対する塩酸セビメリンの有用性

摘要

頭頸部癌放射線治療後の患者に塩酸セビメリンを投与し，唾液分泌量,安全性，自覚症状の点からQOLを改善しうるかの検討を行った。 頭頸部癌放射線治療後の患者で，口腔乾燥症状を訴えている患者を対象とし，封筒法によって無作為に割り付けられた薬剤投与群（13例）と非投与群（16例）の計29例に対し検討を行った。 投与前，4週間内服後，8週間内服後のそれぞれで，唾液分泌量，自覚症状の変化　有害事象の有無を観察した。 投与群において8週間内服後の唾液分泌量が有意に増加した。 またVASによる自覚症状の変化では，経時的にスコアが減少する傾向を認めた。 塩酸セビメリンは安全性の点においても優れ，使用しやすく，頭頸部癌放射線治療後の口腔乾燥に対して有用な薬剤として期待される。