Social policyとしての 成人発達障害者に対する医療

摘要

成人発達障害の患者のうち，最近とくに話題となり，新たな医療政策上の課題となりつつあるもの に，兜童期に診断されずに成人期で初めて診断された人があげられる.児童期に診断される発達障害 児よりも知能が'高く，一見したところ，症状も軽い（大人になると実は全く社会生活等の上で不十分 ということがはっきりする）ので，かかりつけ医や精神科専門医それぞれの段階で，児童期に発見さ れた場合とは違った対応が求められる. 具体的には，発達障害とはいわれたこともない人がうつや不適応で精神科に行き，「何か違うぞJと 思われるというような患者群が問題となってくるのである.その場合，発達障害の診断自体の緊急性 はいまさらないことが'多く,'むしろ合倂精神症状への的確な介入を発達特性に応じて行うことか大切 になる.発達障害の成人を特別視せず，かかりつけ医と精神科医の連携により，適切な治療と社会的 支援がなされることが求められている.