の五行穴としての側面「傍通·変化」の理論I

摘要

五行穴の配当表を、「流注」、「傍通」、「変化」と表現するのは、五臓の精気が五行の属性のもとに変化していくことを意味するためである。傍通の概念は、五臓の精が四季の外界の気を受けて形蔵に変化する理論が基になる。五兪穴における精が細い通路を傍通して通る理論が、経絡論に導入され、流注論が展開した。五兪穴の理論はその源泉が原穴の理論であることもあつて、経脈論の一部としての要素が強い。しかしながら、今日の五兪穴の使われ方をみると、「井、泶、兪、経、合」や「出、流、注、行、入」といった経脈の流れを意識したものでなく、五兪穴を「木、火、土、金、水」の五行穴として応用する例がほとんどである。著者らはすでに経脈論の側面を持つた五兪穴の意義について検討を加えた。本稿では五行穴としての五兪穴の意義について『素問』、『霊枢』を用いて検討を加えた。また、この問題と合わせて、一般に使われている「流注」の字義の問題についても再検討した。