精神療法

摘要

過敏性腸症候群を呈する患者は，主症状である腹痛や腹部膨満感を伴う便通異常のみならず，四肢 の冷え症などの自律神経の不調に伴う症状や，さらには心理的不安に伴う過緊張によって曰常生活に 支障をきたす.その診療においては，担当する医師が患者に敬意を払いながら，問題となる腹部症状 だけではなく心理社会的人間像を理解することに努め，配慮のある病歴聴取と丁寧な身体診察を進めながら「良好な患者一医師関係」を築くことが最も大切である.そのうえで，適bDな薬物療法を用い ながら，さまざまアプローチを併用することで患者の自己効力感（セルフ?エフイカシ一）も高まるこ とになる.プライマリ?ケアで併用しやすい精神療法アプローチとしては，ナラティブ'ァプロ一チ， リラクセーション技法によるアプローチ，認知行動療法的アプローチなどがあげられる.