うつ病と自殺 医療からみた自殺者の実態

摘要

平成15年のわが国の自殺者は3万4，000人を超え，統計上，最悪の数値となった．先行研究により，すでに自殺の危険因子が明らかにされているが，そのひとつに精神疾患がある．自殺者の9割以上は精神疾患に罹患しており，なかでもうつ病を含む気分障害が最も多いことが知られる，一方，うつ病患者のほとんどは初診時に内科などのいわゆる身体科を訪れ，またプライマリ·ケアや内科を受診している患者での1割前後がうつ病を抱えていることも報告されている．自殺を減らすためには，うつ病を診断し適切に精神科治療につなげることが必要であり，身体科と精神科との協働が極めて重要である．