がん手術の進歩

摘要

がんに対する手術療法の歴史は華岡吉洲の時代まで遡るが,手術療法は現在もがんに対する治療法の中心として重要な役割を果たしている．現在までに．早期がんに対しては,縮小手術や患者のQOLを重んじた低侵襲性手術および機能温存手術,進行がんに対しては拡大手術と進歩してきた.一方,20年前にわが国に導入された内視鏡外科手術は,低侵嚢性手術として「痛まず·傷が小さく·早く家に帰れる」手術として注日を集め，養老のQOしを重視する近年の医療,社会のニーズに合致し,急速に普及を遂げ,現在では早期がんはもちろん進行がんに対してもその適応が拡大されつつある.このような手術療法の進歩を受け，その治療成績を評価すべく大規模な第Ⅲ相,第Ⅲ相臨床試験も実施されるようになり．手術療法もエビデンスに基づく選択へと進んでいる．さらに．最近では医療従事者や患者にわかりやすく,真の高い医療が授受できるように,胃癌や大腸癌をはじめ割蔵器別に癌診療ガイドラインが作成され,手術療法の役割もしだいに明確にされてきた．がんに対する治療全体のなかで,これまで通り手術療法の重要性は変わらないが,写後は,根治性にカロえ,低侵襲性や機能温存などQOLを重視した手術がさらに普及するものと考えられる．