鉱物薬の効能の傾向に開する考.-粘土状の鉱物、鉄を含む鉱物-

摘要

『傷寒論』や『金匱要略』以来、多彩な鉱物が用いられてきたものの、現在では臨床に使用しないものも多く存在する。しかし、これらの鉱物薬の全体像を把握することは、当時鉱物薬が対象としていた病態生理を深めるのに役に立つ。鉱物は、宇宙の誕生より、水素やヘリウムなどといった元素が、化学反応を繰り返し、より質量の重い元素を生み出していく中で形成された生命のない物質である。第一世代の恒星が巨大化して生涯を終えるまでに、最後に創り出すのが鉄とされており、その意味でも"重い"元素である。