経気管支肺生検で診断したァスペルギルスとの重複感染が疑われた肺ムーコル症の切除例

摘要

症例は73歳男性.悪性リンパ腫寛解中であつたが，原因不明の間質性肺炎を発症しステロイド治療が行われていた.ステロイド治療開始1年後に発熱，右胸痛が出現し肺炎の診断で入院となった.血清P-D グルカンが高値で喀痰よりAspergillus ftrni/gafi/sが検出され，右下葉に腫瘤を形成したため侵襲性肺ァスペルギルス症を疑いミカファンギン，ィ卜ラコナゾール併用治療を開始した.しかしこれらの薬剤が無効であつたため経気管支肺生検を行い，肺ムーコル症と診断した.抗真菌薬をリポゾ一マルアムホテリシンB に変更したが病変を制御できないため右下葉切除術を施行した.肺組織培養からRhi'zopus oiyzaeが同定された.肺厶一コル症は予後不良の疾患で，生前診断，培養同定に至ることは稀である.肺ァスペルギルス症を疑う状況でも積極的に病理学的検索を行うことで本症の診断に至り，救命につながると考えられた.