急速に気管支拡張が進行し，増悪した同種末梢血幹細胞移植後の閉塞性細気管支炎の1例

摘要

症例は64歳女性.急性リンパ性白血病への同種末梢血幹細胞移植を施行後，呼吸困難を生じ移植後116日目に入院した.血中ァスペルギルス抗原·抗体陽性，右上葉にすりガラス影を認め，肺ァスペルギルス症と診断.抗真菌薬投与にて血中抗体陰性化，すりガラス影も消失したが呼吸困難は持続した.胸部CT 上両側下葉優位に気管支拡張が進行し，呼吸機能検査で混合性障害を呈したため，慢性移植片対宿主反応(graft versus host disease ： GVHD)後の閉塞性細気管支炎と診断，tacrolimus (FK506)を増量し，ステロイドを投与したがII型呼吸不全にて入院後約2力月で永眠された.CTでの気管支拡張を各肺葉毎に，0=正常，1=隣接した肺動脈径の2倍未満，2=同2?3倍，3=同3倍以上と点数化し合計した（最大15)ところ，約2力月で0から13点まで急速な増悪を示した.