大腸癌術後機能的端々吻合部の便塊貯留が通過障害の原因となった1例

摘要

症例は57歳，女性.腹痛便秘を主訴に当科を受診し人院となった.約2年前に他院でS状結腸癌に対して腹腔 鏡補助下S状結腸切除術（T1NOPOMO Stage I )が施行され，再建は自動縫合器を用いた機能的端々吻合が行われていた.入院時腹部CT検査にてS状結腸癌術後吻合部に大さな便±鬼貯留を認め.これが通過障害の原因と考えら れたために，入院8曰後に開腹術を行った'開腹したところ'吻合部は囊状に拡張し内部に便塊が嵌頓していた.吻合部を含めた腸管切除を行い'手縫いによる端々吻合を行った.術後経過は良好で，術後14曰目に退院した.本症例のような合併症は極めて稀であるが,左側結腸吻合においては起こりうる合併症と考え対処する必要があると考えられた.