70歳男性.1999年にS4の肝細胞癌に対する肝部分切除を受けた.以後経過良好であったが,2001年6月にS5に径2cmの再発を指摘された.肝動脈化学塞栓療法(transcatheter arterial chemoembolization:TACE)を施行するも効果不十分であり,経皮的ラジオ波熱焼灼治療(percutaneous radio frequency ablation:PRFA)にて追加治療を行った.十分な治療壊死範囲を得ることができたと判断し治療は終了した.しかし,術後2カ月目のダイナミックCTにて治療部周囲に淡い濃染像を認めた.さらに治療後5カ月目には肝外へ突出するように急速な増大を示し,腫瘍マーカも急上昇した.TACEにて加療を行い,その後腫瘍は著明に縮小し,腫瘍マーカも正常範囲まで低下した.2004年2月現在,治療部位の再発を認めることなく経過している.同様の報告例の多くは不幸な転帰をとっているが,幸いにもTACEが奏効し現在も生存中である.PRFA後に短期間で急速な再発進展を来し,治療としてTACEが奏効した症例を経験したので報告した.
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