使用抗原に52kD蛋白を加えた蛍光酵素免疫測定法による抗SS-A/Ro抗体測定法の臨床的有用性

摘要

抗SS-A/Ro抗体は，シエーグレン症候群(Sjogren's syndrome: SS)患者血清中に見出された自己抗体である。1961年AndersonらはSS患者血清からSjd抗原に反応する自己抗体を初めて同定した。1969年Clarkらは抗Ro抗体，1975年Alspaughらは抗SS-A抗体を発見したが,これらの自己抗体は，その後，同一であることが確認され，抗SS-A/Ro抗体と称されるようになった。抗SS-A/Ro抗体はSSの診断基準に含まれておりSS患者の50-70%に認められる自己抗体であるが,他のリゥマチ性疾患， 例えば全身性ェリテマト一デス(SLE)でも比較的検出頻度の高い自己抗体である。抗SS-A/Ro抗体の対応抗原は，蛋白合成の調節に関与するY1-Y5と呼ばれる低分子RNAと60kDおよび52kD蛋白との複合体である。このため，抗SS-A/Ro抗体には抗52kD SS-A/Ro抗体ほo52抗体)と抗60kD SS-A/Ro抗体(Ro60抗体)が存在する。通常，SS-A抗原は細胞質に存在するが，酸化ストレスや紫外線等の刺激が加わることによって52kD蛋白が細胞表面に発現し，抗原性を獲得するようになるという興味深い報告がある。