頚静脈に対するガイドワイヤおよびダイレータの挿入角度による血管穿孔可能性を評価する試験法の構築

摘要

セルジンガ一法はほぼ確立している手技であり，全ての医師に要求される基本的手技の一つとされている．そのため，患者に対するより高い安全管理を目的として中心静脈カテーテル挿入に関連する多くの出版物が刊行され，自発的にマニュアルを作成している医療機関もある．本研究では，セルジンガ⊥法の中でも特にガイドワイヤ，ダイレ一夕挿入時に閲し，工学的側面から留意点を見出し、ガイドライン化することを目的に，評価系を構築，試験を実施した．引張試験機（AGI-250kN，ShimadzuCorp．）上部に許容最大荷重50Nのロードセル（SLBL－50N，Shimadzu Corp．），引張試験機下部には頚静脈固定専用治具を取り付け，計測系を構築した．頚静脈を固定する専用治具は角度設定が可能な機構を具備し，鉛直方向に固定したガイドワイヤおよびダイレ一夕に対し，挿入角度を変更可能とした．計測対象はブタ頚静脈とし（長さ：走行方向に約50mm），頸静脈は切開して内皮を露出させた状態で治具に挟み込んだ上で，引張試験機に固定した．ダイレー夕を下方に変位させた際に挿入角度を15degから60degまで15deg毎に変更させたときの荷重を計測し，頭静脈，ダイレ一夕及びガイドワイヤの状態を観察した．